愛しいカタチの抱きしめかた


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勉強から解き放たれて快活に過ごすはずの週末は、最低限の生命維持活動に留まるだけの行動だけをし、あとはずっとベッドの中で生活をした。お母さんとお父さんは旅行に出掛けてしまい、誰かに咎められることもなく。


行動力という存在が、わたしの中からさっぱりと消え失せてしまっていた。




翌日。月曜日がやってきてもそれは変わることなく、バレバレの嘘をついて学校まで休んでしまった。


「軽くでいいから、食事はとりなさいよ」


「……はい」


怠惰によるわたしの顔があまりにもむくんでいたから、もしかしたらお母さんは少なからず心配してくれていたのかもしれないけど。


学校には親からの連絡が必要で、それは済ませてもらった。わたしは小夜にメールで休むことと、伝達もお願いをした。


カーテンを開けると、冬にしてはさっぱりとした快晴で、階下ではお母さんが旅行の名残の洗濯物を干す音が微かに聞こえてきた。ワイドショーの笑い声も響いてくる。


いつもは体感することのない平日午前中の空気感は特別で、普通ならはしゃぐ心も顔を出してくるのだけど。


……やっぱり、どうにも、そんな気分にはなれない。


もう一度布団に全身くるまっていたら、知らず知らずのうちにまた眠ってしまった。

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