愛しいカタチの抱きしめかた
「ちょっと。何で追い返されたことと、みのりが関係あるのよ。ただ幹二くんが大輔と顔付き合わせるのが辛かったからじゃない。休むなんてよっぽどだし」
小夜の言葉に大輔が即座に反論をした。わたしは……。
「違うね。風邪引きもマジみたいだったけど。風呂で行水だと。バッカみてえ。抜いても、今日の幹二はもろダークサイドだった」
「……行水」
「そうだぞ、みのり」
「だから、それと……」
「幹二がヘコむなんて、みのり以外にねえもんな。――なあ、みのり?」
始めこそ脈略がないとしていた小夜だったけど、言葉尻から気づいたみたいだ。最高潮に驚いた小夜の姿なんて、もう本当に久しぶりで、わたしと大輔を交互に見つめるその首はもげてしまいそうだった。
ついでに、と目配せとジェスチャーで首筋の噛み跡の原因を訊ねてくる。わたしは俯いただけだったけど、伝わったみたい。
「ごめんね。何か色々壁にぶち当たって言えなかった……」
「えっ……というか、みのりと幹二くんって、付き合ってたの?全く気づかなかった私って一体っ!?」
「……マジかよ……。オレの幼馴染みは、ここまで女子力底辺だったのか」
絶えず食べ物を咀嚼しながら、大輔が言葉だけは落胆していた。