愛しいカタチの抱きしめかた
生理痛もあって辛くて辛くて――傷を見せた途端に青ざめた養護の先生に伝えると、すんなりとベッドへと通された。保冷剤やら氷枕やら、物凄く労ってくれる様に恐縮しながらも、授業は休んで眠らせてもらうことにした。
石油ストーブが燃える匂いと、その上で沸かされるヤカンの音が心地いい。糊の効いたシーツにくるまると、見上げた先には気持ちのいい冬の青空。
昨日の夜、上手く寝付けなかったわたしは、ものの数分で眠りの世界に誘われていく。
――
「……」
サッカー部のものか、とてもいい響きをさせてボールを蹴る音で目が覚めた。もうそんな時間になってしまったのかと驚いて勢いよく起き上がると、窓から見える校庭の景色は体育の授業のもので、ベッドの側のカーテンを開けると、保健室内の時計は放課後ではなくニ限目を示していた。
「あっ」
痛い……不用意に首を捻ってしまったものだから。
枕元に所在なげに転がっている保冷剤に冷たさはもうなく、ぽよぽよと触り心地がいいだけの物になってしまっていた。
「おかわり、持ってこようか?」
「っ!?」
養護の先生じゃない。
耳にしたことのある声に辺りをきょろきょろ見渡すと、その声の主はカーテンの陰から眉を下げた表情でわたしを見下ろしていた。