愛しいカタチの抱きしめかた
こんな空色の下を二人で歩くのは久しぶりかもしれない。手を繋がれて走って帰ってた頃以来かも、とも。
隣を歩く百瀬は背が伸びた。他にも、変わったような気がするけど上手く表現出来ない。
百瀬はたまに難しくて、わたしはどれだけ理解出来ているんだろう。
最近気づいた。いつも一緒となった帰り道、小夜と大助と四人のほうが多いけど、百瀬はわたしの歩調に合わせてくれる。きっと、まだまだ知らないところで、合わせてもらってるんだろう。
気づくととんでもなく嬉しくて、とても、申し訳なく思う。
百瀬は、わたしに好意を持ってくれてる。
わたしは嫌いじゃない。けど分からないだらけで。その嫌いじゃないは、一体何なのか。どの感情の引き出しに分類されているものなのか。
そんなどっちつかず宙ぶらりんなわたしを百瀬は待つと言ってくれ、わたしはそれに甘えてる。
抱きしめられ、それが嫌じゃなく、甘く構われることにフワフワとするのは、好きっていうこと?
……それが、よく分からないまま。
結果次第では、百瀬はきっと離れていってしまう。嫌だけど、仕方ないことかもしれない。離れてほしくないけど、それは我儘で百瀬を苦しめるだけになってしまうかもしれない。
百瀬のことは、慎重に真剣に、考えないといけない。
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2ー1・その声に
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