マルメロ
「いいのか――」
「うん、いいよ――何かこの場所って、私とテルくんしか辿り着けないと思う――」
人懐っこい笑顔をルナは見せた――。
「はぁぁ、こうしてルナと話せて良かった――噂じゃぁ凄く怒ってるって聞いてたから、どうしたものかと思って――」
「怒ってないよ――」
「きっと彼女達が、私の気持ちを捏造して言いふらしたんだと思う――」
「そうか――良かったぁ――」
呪縛から解放された喜びを、彼は全身で表現し、言った――。
「ふふっ、テルくんも大変だね――気疲れしない――」
「少しね――でも、最初の頃に比べたら、かなり楽になったよ――マリネも協力してくれるし、クラスメイトも受け入れてくれて、打ち解けられる様になった――」
「本当に、嬉しいよ――」
「でも一番驚いたのは、ルナがこんなに親しみやすい人物なんだってわかった事かな――」
「私、構えちゃう癖があって――それに、あの通り名でしょ、その通りに性格と表情を寄せてしまう――」
「だから私、いつも怖い顔してるでしょ――特に、テルくんに対して――」
「ちょっと可愛いかも――」