考えが甘いんだよ【短編】
「詩穂、帰るぞー?」
「あ、うんっ!じゃーね、菜津美!!元気だしなね?いつでも相談してよ??」
「ありがと、しーちゃん!また明日!!」
はーあっ、私も帰ろっかな?
「あ、なっちゃんー!帰りましょっ」
この子は私の幼なじみでしーちゃんと同じくらい大切な友達の杉沢夏菜(かな)ちゃん。
「かなちゃーん!!帰ろっ!!」
かなちゃんは足が速いのに部活には入っていない。
活発でかっこよくて優しくて可愛いとこもある。
かなちゃんとしーちゃんはどこか似ている。
羨ましいな、本当に。
「なっちゃん、さっき上野が4、5人で帰ってたよ?女と。いーの?なっちゃんは」
「ははっ、いーの、いーの。いつものことだし。」
「マジ、ムカつくね。上野って。大丈夫?なっちゃん。辛くなったらいーなね?」
いつだって2人は私の支えてくれる。
守ってくれる。
大好きだよ、本当に。
「ありがとう、かなちゃん!かなちゃんとお話してたら元気出てきたよっ」
「もぉ、なっちゃんは可愛すぎる!!あーーー可愛い!本当、私の天使だよ〜」
ぎゅっとしてくれるかなちゃん。
かなちゃんのほうが何十倍も可愛いのに。
鈍感さんだなぁ
「あ、家着いたね!また明日!バイバイ」
「うん!話し聞いてくれてありがとう!かなちゃんまたね!!」
「はいよー!」
家に帰ってベッドにもふっと倒れる。
今日も疲れたな。
どれだけこんな日々が続くのかな。
私、もつかな?
高校はあと2年間もあるというのに。
優しくされたことなんて一度もない。
いつだって君は私に冷たかった。
告白されたとき、すっごく嬉しかったの。
君に嫌われてるんじゃないかって思ってたから。
でも付き合っても冷たいのは変わらなくて。
最初は戸惑ったっけ?
よく一年間も頑張ってるなぁ、私。
うん、そこは褒めてもいいよね私。
まぁまだ完璧に1年とはいえないけど。
「巧弥くんは私のことどう思ってるのかなぁ?」
私はやっぱり考えが甘い。
もしかしたら恥ずかしがってるだけなんじゃないかって。
別れないってことは私のこと好きなんじゃないかって。
そんなこと、ありえなかったのにね?