メガネのヒメゴト
「いいニオイがしてるんだよね」


 胸元にあるペンダントの立ち昇る柑橘系の香りにわたしと彼は酔いしれていた。


「もう一回する?」


彼はわたしの言葉を待ってました、といわんばかりの笑みをこぼした。


「疲れてるけど、がんばってみますかね」


メガネをつける。


カラダがほしいと望んでいる。


一夜の果てることを知らない夢は翌日にも消えずに残った。

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