何も知らないふりをして
*2

高校2年生になって *Hikaru



ときどき夢をみる。


ずっと、ずっと見ていた背中。

学ランのよく似合っていた、あの小さいわけでも大きいわけでもない背中。


決して私に向けられる事のなかった笑顔。


人気者、というわけじゃないけど自然と誰かが隣にいる、その独特の雰囲気。



ときどき夢を見る。

そんな夢を。


あの時なにも言えないままで、今こうやって知らないふりまでしてる。



もう一度、もう一度あの時が戻ってきてる。

私の中に、戻ってきてる。


…私はもう、戻れないのに。




「もうやめて!!!」



そう叫んで覚める夢は、居心地が良くも悪くもなくて…気持ち悪い。





4月6日。

目にとびこんできたカレンダー。




…今日から高2だ。


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