何も知らないふりをして

よいしょ、と机を動かして、座って待つ。

なんか眠くて、目をつぶっていた。

実際に眠らなくても、目をつぶるだけで多少の睡魔は撃退される。


「よしっ、全員そろったな!」

そんな担任の声が聞こえて目をあけた。

「じゃぁ、軽く自己紹介でもしていこう!」

…めんど。大体一番の私にとって、こーいうのは何言えばいいのか分かんないんだよね。

「せんせぇー、何言えばいいのー?」

「そうだな…、じゃぁ、名前、誕生日、好きな食べ物でいいんじゃないか?」

「適当!!」

「いいだろ!はい、じゃぁ出席番号一番!」

そう言われて指を刺され、嫌嫌だが立ち上がった。


「芦影 光、11月14日生まれ、好きな食べ物は…コーヒーゼリー。よろしくお願いします」


「ハイっ、次!」

今のでよかったか。

そう思ってホッ、としたのも束の間





「稲月 智広です」




真後ろから聞こえた声に、思わず振り向いた。


「誕生日は7月13日。好きな食べ物はなんだろうな、あっ、アスパラガスのベーコン巻き!よろしくお願いします。」



きゃあああああああああああああああああああと、女子から歓声が上がった。




私は茫然と、稲月智広を見ていた。



「…いな…つき君………」



まさか、同じクラスなんて。


< 17 / 17 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

守られるより守りたい!
秘音/著

総文字数/34,705

恋愛(その他)76ページ

表紙を見る
pencil
秘音/著

総文字数/2,511

その他10ページ

表紙を見る
カラメル
秘音/著

総文字数/3,212

恋愛(その他)15ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop