何も知らないふりをして
「えーっ、光知らないのー?」
私の言葉が不満だったらしい彼女は、なんとも納得いかなさそうな顔をして私を見る。
「知らない」
私はただひたすらに、そう口にする。
何も知らない、ふりをして。
「つまらないの。最近の女子の中では芸能人より有名なのに。」
「へー、そうなんだ」
「もー!なんで光そんな興味なさそうなの?」
「…だって、知らないし」
嘘。
ホントは知ってる。
有名になる、ずっとずっと前から。