何も知らないふりをして
芦影 光。
俺の隣のクラスの女子で、最近堺の中で話題になっている…らしい。
頭がよくて、テストでは大体1桁順位。
涼しげで、スマートで、可愛いよりかはかっこいい、って感じの女子。
そこらできゃっきゃと群れてるような子ではなく、一人で静かにしているような子。
艶やかで綺麗な黒髪のショートヘアがとてもよく似合っているらしい。
あの頃は、二つ結びがよく似合っていたけど。
「で、まぁ堺は彼女に一目ぼれをしたらしい」
「…そんなハイスペック、堺には無理だろ」
「まぁ俺もそう思うけど。俺も顔は見たよ。なんか…冷血美人って感じ?」
「…それ、褒めてんの?けなしてんの?」
「まぁとにかくそんな感じ。なんかアドバイスある?」
「雑だな、お前」
「へへへー」
マグロはまたそう笑う。コイツよく笑う。
この笑顔があれば俺なんかよりずっとずっとモテるのに。
本当女子って見る目ないな。
「とりあえず、押してダメなら押して押して押してそんで砕けろ」
「はいっ、ありがたいお言葉受け取りましたッ」