夏の短編【2作品】
外に出ると綿菓子のようにもくもくの入道雲に、吸い込まれそうなくらいの青い空があった。


その中央にはぎらぎら照りつける太陽。


40度でも超えてるんじゃないかと錯覚するくらいに、外に出た瞬間汗が吹き出してきた。


たまに吹く風がものすごく気持ちいい。


「ねえ詩乃」


一つ目の角を曲がったところで楓芽が申し訳なさそうに口を開く。


全然違う方向をみているから、表情が見えなくてなぜだか不安になった。


「なに…?」


「夏ってやっぱり楽しみたいよね」


唐突な質問にたじろいでしまう。
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