つかむ、その手。


そして、そんな痛みを....きっと
....紗理奈は負ってしまったんだろうな



「ぐ....萌っ!」


『えっ....』



昔のことを思い出してた私は
手が止まっていたらしい



「萌なんかあった?」


紗理奈に心配される
....心配しなきゃいけないのは私のほうなのに


『....なんもないよ』


思い出したくないことを思い出した今、


「そう?....もぅ、どうしたらいいか分かんない」


誰かに無性に抱きしめてもらいたかった
誰か、じゃないや....なつきとあおいに....


黙り込む私と何かに耐える紗理奈
口を開いたのは横井だった


「....とりあえず、距離おいてみたら?
今も置いてるかもしれないけど、
誰かの家に泊まる、とか....」


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