君のとなり

次ははっきりと鮮明に聞こえた!

あの女だ!

声のしたほうに向かうと

「くそっ!おとなしくしてろ!」

「いやっ…やめてぇっ…」

四十代くらいのおっさんに襲われているあいつがいた

それを見た途端

体の中で今までに感じたこと無い怒りが湧いてきて

ドゴッ!バキッ!

気づけばおっさんを殴っていた

「ひぃっ!」

悲鳴をあげて走り去るおっさん

ふぅ…

「大丈夫か?」

俺はそいつに振り返った

白い肌、黒い髪と瞳、紅い唇

こんなにも綺麗な女がいるのだろうか

「す…みませっ…」

女はガタガタ震え、少し涙目になっていた

そりゃそーだな、あんだけ怖い思いしたんだし

「お前、名前は?」

「篠原凛です」

凛…

「とりあえず立てるか?」

「あ、はい…」
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