悪魔の目
「………ぬよ。」

「…へ?」

「あんた死ぬよ。」

少女は右手をゆっくり上げ、指を差した。その方向に目をやると、白のワンボックスカーがブレーキを踏みながら、僕に向かって突進してくる。

キキィーーー!!

ああ、そういう事か。僕は一瞬で理解した。

この子の言うとおり、僕はこの瞬間に死ぬのだろう。そういえば、いつも信号が青で鳴るはずの童謡も流れていなかった。

信号に目をやると、赤色が光っている。僕は本来渡ってはいけないはずの、赤信号を歩いていたようだ。

どうりで、この場に2人しかいない訳だ。

すると、この子は僕を迎えにきた死神なのか、さては悪魔か…。

「危ない!!!!」

誰かが叫んだが、僕にはもう周りを見る余裕も残されていなかった。
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