悪魔の目
人は輪廻すると言うが、生まれ変わっても僕なのか、と少しガッカリしたが、母親にまた会えると思うと、嬉しくもあった。

「ははあ、元気な子だなあ、こりゃ。」

もう一つ、母親とは違う力強い手がお腹をさする。この声は父親だ。

僕も母親の肉壁を挟み、その手に自分の手を重ね合わせる。

(父さん、母さん…。)

懐かしさと安堵で、涙が溢れた。涙なのか羊水なのか、僕にはもう訳がわからなかった。

そこから、僕は母親のお腹の中で期待と不安と喜びを噛み締めながら、数日間過ごした。

その後、僕は三日間の陣痛と吸引機を駆使して、僕が死んだその日に、難産の末にこの世にもう一度生を受けた。
< 8 / 19 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop