ミク。
『あのさ、図書室に鞄あるから取って来て?』
[私のも取って来て?]
《お前お化け怖くないっしょ?》
「…………………。」
ミクはだいたい予想していたこの展開に無言で図書室に視線を移すと、ホントにお化け居るなら出て来てコイツ等なんとかしてよ。居ないから出て来てくんないんでしょ!?と、声にならない声で怒るように、呼び寄せようとするようにドアを開け、一人で真っ暗な図書室に入って行った。が、命令した奴等はこれ以上無理なくらいにぎゅうっ…と固まって、『やだぁ、ほんとに入ってった』だの、[呪われちゃうよ?]だの、《やっぱお化けよりアイツの方が怖ぇよ》だの好きな事ばかり言ってるし、取って来たらきたで、後で消毒しなきゃ!なんて聞こえるようにわざと言いながら菌回し気分で走ってさっさと帰って行くし。…………‥‥でも、それを注意するヒトは誰も居ない。庇ってくれるヒトは誰も居ない。同乗するヒトはそれなりに居るけど、同情するヒトは誰も居ない。こういうのが部活の知人。こういうのが少し遅くなった放課後の御約束。こういうのが見慣れた日常で、疲れる1日の終わりを知らせる音の無いチャイム。だから、幽霊部員になったのだ。
[私のも取って来て?]
《お前お化け怖くないっしょ?》
「…………………。」
ミクはだいたい予想していたこの展開に無言で図書室に視線を移すと、ホントにお化け居るなら出て来てコイツ等なんとかしてよ。居ないから出て来てくんないんでしょ!?と、声にならない声で怒るように、呼び寄せようとするようにドアを開け、一人で真っ暗な図書室に入って行った。が、命令した奴等はこれ以上無理なくらいにぎゅうっ…と固まって、『やだぁ、ほんとに入ってった』だの、[呪われちゃうよ?]だの、《やっぱお化けよりアイツの方が怖ぇよ》だの好きな事ばかり言ってるし、取って来たらきたで、後で消毒しなきゃ!なんて聞こえるようにわざと言いながら菌回し気分で走ってさっさと帰って行くし。…………‥‥でも、それを注意するヒトは誰も居ない。庇ってくれるヒトは誰も居ない。同乗するヒトはそれなりに居るけど、同情するヒトは誰も居ない。こういうのが部活の知人。こういうのが少し遅くなった放課後の御約束。こういうのが見慣れた日常で、疲れる1日の終わりを知らせる音の無いチャイム。だから、幽霊部員になったのだ。