ミク。
……まぁ、早い話しが逃げた。というか、真面目に部活をする事に疲れたというか、誰か心配してくれる相手が一人くらい居て、漫画やドラマのように捜して来てくれるものだろうか?と少し淡い期待をしてみたのが初めて部活をサボった日の心情だったけれど、やはり現実は現実で、奇跡なんてチリ程も起こらなかったし、今ではすっかり幽霊部員が定着してしまったが、別に泣く事も悲観して鬱になる事も無い。だって一人の方が気楽だし、好きな芸能人や理想のタイプについて聞かれて答えて汚されて馬鹿にされる事も無い。知らないコスメやファッションについてわざと聞かれて答えられず、お前オンナじゃないよねぇ~。なんて言われる事も無い。むしろ静寂に包まれている方が安心出来る。

「私って人間不信かな?」

なんて読んでいる本に向かって独り言を言ってみると、その本の向こう側にいる人達が慰めてくれたり、勇気づけてくれたりするし、時には竜馬の世界から人切りで名を残す事になった人切り似蔵こと岡田似蔵が飛び出して来て【俺がオマンいじめちょる奴等、代わりにブッた切っちゃるき!】なんて土佐弁で言ってくれて刀をふり回してくれたりで、楽しくなってくる。
< 40 / 171 >

この作品をシェア

pagetop