ミク。

そもそも四季神とは天界、下界、地獄に季節を届けられる特別な神である為、幼い頃は教養、神術、能力を開花させやすくする為、志願し、天帝によって許可を得た育母と呼ばれる三名の女達に一人五年のサイクルで担当代えをしながら合計十五年間面倒を見て貰い、その後は上級神として使用人付きの広い屋敷を与えられ、そこに代替わりする時まで永久に住まう事を許された身。
　だが、前例が無い程の美しさを持って生まれてしまった彼等…‥。特に本来冬神として生まれた子供は格別に美しく、子供のものとは思えない程の色気を誕生した当初から兼ね備えていた。

《初めまして。私が貴方の最初の育母の珠里夜です。どうぞ宜しくお願いしますね？》

最初に、そんな彼の育母を担当してくれたのは爛々と深紅に輝く右目と、アメジスト色に輝く左目を持った、絵にも描けない程の美しさを持つ年若い妖怪の娘、珠里夜～ｼｭﾘﾔ～だった。

｢こっちこそ宜しく。｣

どちらも負けず劣らずの美しさを持つ二人がお互い軽く手を取り合って挨拶をした。が、この時はまだ彼女が全ての鍵を握ってそこに居たのだという事を、彼はチリ程も知らず疑問など何一つ抱いたりは、しなかった。