ミク。
だが、冬に至っては当初から子供のものとは思えない程の色気を持っており、幼少期最後のサイズである十六歳、前後の姿になった今では益々オンナが持つそれを遥かに越えたモノを彼全体から溢れさせてしまっている。だから、欲や好色の眼で見られてしまうのだろう。…しかし、

《私達や地獄の者は普段(死)に無縁です。敵に殺られるか、討伐で命を落とすかしなければ死は訪れません。有るのは長い長い生のみ。ですから、欲が強くなるのです。》

「欲?ですか?」

《えぇ…‥欲です。下界の人間は誰しも寿命を持っています。どんなに長かろうと一つの命が誕生して枯れるまでが百年。その中で家族、友人、恋人を造ります。だからこそ真実の永遠があるのです。私達のように長過ぎる生は持っていませんから。》

「…‥それと僕の事、何か関係あるんですか?」

小首をかしげ、今一分からないという表情を向けて来た少年が胸に深く深く突き刺さる。しかし、どうしてやる事も出来ない。これが運命なのだから。この子を救えない訳じゃない。だが今一時の感情で救ってしまったら未来が変わってしまう。だから、どうしてやる事も出来ないのだ。

《決められた寿命が無いという事は、長く生きれば生きる程どん欲になってゆく。という事なのですよ。》
< 49 / 171 >

この作品をシェア

pagetop