ミク。
もしも、遠い未来で過去や未来に行き来できる完璧な人間型ロボットが簡単に造らるようになったとしたら…。そしてそのロボットが過去に行った時、自分を作ってくれた主人に恋をしてしまったら……という恋物語。

　～【博士の恋人】～

二千ⅩⅩ年。私は初恋岬近くに建つ白い切妻屋根の家で主様に組立てられた。
ワン·ツゥー·スリー。と、主様の数えるカウントにパチリと目を開けばすぐ様命を受けた。

『君を購入したのは他でもない、私の過去を見て来て貰いたいからだ』

｢何故ですか？｣

と、私が訪ねると博士は小さく吸い込んだ空気を力無く吐き出しながらこう教えてくれた。

『三十年前私はある事故で過去の記憶を無くしてしまったんだ。一番、大切だった人の記憶を………っ！』

｢たいせつ、な、ヒト？｣

『あぁ。とても大切な人の記憶だ』

博士は無意識に自分の左手に悲しい視線を落とした。その手の長い薬指にはプラスチック制の指輪がはめられていて鈍い光を放っているのを見る事が出来た。

『だからその相手が誰なのか調べて来てくれ。もちろん戻ったらその人が今も生きてるかどうかを調べて貰う。良いね？』

私は素直に頷いた。
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