ミク。

その後はまるで軽い人形のように簡単に肩に担ぎ上げられるとバスルームに直行されて乾いたタイルの上に放り投げられるなり頭から桶の中に溜まっていた冷水をお見舞いされた。
…‥バシャリ‥‥‥

『教えてやる代わりに対価払えよ』

｢…たいか？｣

『キレーになったらベッドへ来いって事かもな』

長い赤い髪を無造作にぐしゃぐしゃと掻きあげながらこちらを振り向きもしないでバスルームのドアをバタン！と片手で閉めて出て行ってしまった彼になんだか呆れてしまって、先に悪い質問をしてしまったのは自分の方だという事を忘れ欠けてしまう。
だって、アレが若い頃の主様だと思うと一気に全身が疲労してしまう。だって、なんであんな急に態度が変わるの？だいたい対価って何？本来ロボットである私に一体何を払えってゆぅワケ？と、ここまで考えて、考えるのを辞めた。
まず現在の主様は私を人間だと思っているワケで、未來の主様に頼まれて過去に来ているなんて到底知るハズが無いもの。だったらある意味好都合なんだから私は今の彼の命令に従って側に置いてもらって役目を果たせば良いだけなんだと思い直して、先刻彼に命ぜられたように自分をキレーにした