ミク。
バスルームを出ると先刻着ていた服が姿を消していたので仕方なくバスタオルに身を包んで彼が居るらしいリビング兼寝室に向かうとやっぱり彼が居て、腰掛けていたベッドに1人分席を空けると赤い眼で『ここに座れ』と指示して来たので素直に従った。が、突然無言でそこに押し倒されて人間と同じ感触に造られている人工皮膚の頬を撫でつけられる。

『純粋なフリして、慣れてるみたいだな』

「…慣れて欲しいのですか?」

『は………………?』

「主様の御命令なら従います。何に慣れて欲しいのか教えて下さい」

ロボットとして持ち主の命令を聞き入れ、それがどんな事であっても従う事はロボットとして当然の事。だから持ち主に組み立てて貰ったロボットとしての立場を取った私に対して、彼は肩をわし掴みしてきた手から力を抜いて緩めた。

『…‥お前……………どんな親だよ』

小さくそぅ呟きながら解放してくれた彼はなんだか、とても冷たい影を抱かえているようにも見えて、私は自分の中の自分が何をどう言えば良いのか分からない気持ちになっている事に気が付き、隠す為にもロボットらしく未來の主様に向かって膝を折り、三つ指を揃えて深々と頭を下げた。
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