【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~
「うまい!」
「よかった」
俺の言葉で、美沙の強張った顔が緩んだ。
「美沙は今日、予定なかったん?」
「うん。みんなデートで忙しいみたい。明日はホワイトデーやしね」
「あっ!」
明日、ホワイトデーやん!
「どうしたん?」
「いや、なんでもない」
俺の声に驚いた美沙に、そうごまかすことしかできなかった。
「そう。准は?予定あるん?」
「あっ、今日は昼から出掛けようと思ってて・・・」
「そっかぁ、じゃあ、わたしは一人で夕食でも作ってようかな?准は何がいい?って食べて来るの?」
少し寂しそうな顔をしているのを見て、自分が悪者になったような気になった。
なんでそんな顔するねん。
俺が悪いみたいやん。
「いや、健吾に授業のノートを貸すだけやから、すぐに帰ってくるよ」
「そっかぁ」
「うん」
よかった。
美沙の顔に笑顔が戻ったことで、安心した。