【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~



「じゃあ、何食べたい?」


「う〜ん。餃子?」


「餃子?准って変わってるよね・・・ふふふ」


「あかんかった?」


あれ、選択をミスったか?なんとなく餃子が食べたかったから言ったんやけど。


「いいよ。そのかわり、手伝ってね」


「えっ、料理したことないで・・・」


「私が教えてあげるよ」


自信満々で言う美沙もかわいくて、思わず本音を出してしまいそうだったが、どうにかこらえようとした。


「お前も母さんに教えてもらってるのに、偉そうに」


必死の言葉がこれ。


絶対に怒らせてしまう、と思ったが、反応は予想外のものだった。


「ふふふ・・・そうやね」


食べ終わった皿を片付けながら笑う美沙は、いつものように突っ掛かる様子もなかったので、少し調子が狂った。


「じゃあ、帰って来たら、うちに来てね」


「うん、わかった」


片付けが終わり、二人は宮元家を出て、俺は駅へ、美沙は自宅へ向かった。


我ながら嘘が下手過ぎる。


『健吾に授業のノートを貸す』なんてありえへんし。


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