【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~
次の日、いつも通り家を出るとなぜか美沙に声をかけられた。
「おはよう、准」
「おはよう。どうしたん?早くない?」
朝から嫌な奴に会ってしまった・・・。
絶対に今日は厄日や!
確か、今朝のテレビの占いで牡羊座は12位やったし。
『口の悪い人にプライドを傷つけられてしまいそうです!』って言ってたし。
美沙の学校は電車で20分ほどだから、8時前に出たら間に合うはず。
それなのに今は7時。なぜここにいる?
あー嫌や!
朝からこの女は何を言うつもりなんや?
「文化祭の準備があるから」
「ふぅん。そうなんやぁ」
俺は、できるだけ当たり障りのない言葉を探す。朝から余計なことを言われてブルーにはなりたくないし。
「もしよかったら、准も来てね。来週末やから」
「あぁ。友達も誘ってみる」
なんか、普通の会話になってないか?
美沙とこんな会話したのなんていつ振りやろう。
幼稚園の頃は仲良く遊んでたんよな。
でも小学生になってから、いきなり女王様みたいになったんよな。
そんなことを考えながら歩いていたので気付かなかったが、いつも通りのスピードで歩いていたから、美沙は少し速足になって着いて来ていた。
うわっ、なんかうれしい!
いつも、偉そうに『ついておいで!』『遅い!』とか言われていた日々を思い出すと、今のなんとも言えない優越感にどっぷりと浸りたい気分だった。