【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~
「ねぇ、准。こんな話知ってる?」
「何?」
美沙は俺の肩にもたれたまま聞いた。
雨は止む気配はなく降り続き、雷も鳴っている。
「心理学の実験か何かで、つり橋を渡り終えた男性に女性が声を掛けると、普通の橋を渡った男性たちよりも、あとで連絡がくる割合が高いって・・・」
「あぁ、なんか聞いたことある」
「怖い時に一緒にいる人と恋におちるってやつ・・・」
「・・・・・・」
何も言わないでいると、美沙が続けて話し始めた。
「人間ってさ、怖い時とか、興奮している時に感じるドキドキを恋だと勘違いするんやってね・・・」
何が言いたい?
「私が・・・今感じているドキドキは・・・暗闇だけのものなんかな?」
えっ?
それって?
静まり返る暗闇に、心臓の音が聞こえるのではないかと思うくらい、鼓動し始めた。
美沙、俺のドキドキは、暗闇のせいじゃないよ。
大好きな美沙が側にいるからやで。
「美沙・・・。俺のは、暗闇だけじゃないよ・・・美沙のことが・・・好きやからやで・・・」
絞り出すように言葉にした瞬間、電気がついた。
自分でも顔が真っ赤になっているのがわかり、美沙から顔を逸らした。
ついに告白してしまった・・・。
美沙は・・・俺のことどう思ってる?