【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~
Trap12 裏切り者
「結局、俺の罠は失敗に終わったんやな」
「はぁ?罠?」
健吾が笑いながら言っている意味がわからなくて、眉間にシワを寄せて聞いた。
「あのクッキーにまつわるジンクスは嘘やったんや」
「あれ、嘘やったんか?」
「そんなに簡単に両想いになんかなれるかよ」
目を逸らしながら言う健吾の表情はどこか寂し気だったが、俺は深くは考えなかった。
「少しでも准のモチベーションが上がってさ、告白でもできたらいいなと思ってな」
「そっかぁ」
へぇ・・・こいついい奴やん。
「でも、告白ができなかったとは、作戦失敗やな・・・」
「というか、俺、まだ告白するつもりないし」
告白したけど、寝てたから聞こえてないなんて言われへんし。
「オカンの思う壷になるからか?」
「あぁ」
もうそんなこと考えてないよ・・・。ただ単に・・・フラれるのが怖いんや・・・。
「そんなこと言ってたら、他の男に取られるぞ!・・・俺とかな」
「はいはい」
健吾の冗談を軽くかわし、再び机に突っ伏した。
「いい加減、くっつけよな」
その言葉は届いていたが、反応することはなかった。