【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~
「准、おはよう」
いつもと同じトーンで次の日も、健吾は話し掛けてきた。
俺の中では、昨日、美沙に言われたことが頭の中をグルグル回っていた。
『昨日ね、たまたま入ったお店に、准の友達の健吾くんが居てたんよ』
『健吾くんって優しいね』
『ごはんもご馳走になってしまったんよ』
何を嬉しそうに話してるねん!
好きなんか?
健吾のこと・・・。
お前、好きな男へのプレゼントを選びに行ったんやろ?
健吾に目移りしてるんじゃねぇよ!
「准、聞いてるか?」
「はぁ?何?」
不機嫌そうに健吾に言い放った。
「昨日も美沙ちゃん来てくれてさ」
「はぁ?昨日も?」
あいつ、何も言ってなかったし。
「俺のこと気に入ってくれたんかな?」
「そんなわけないやろ・・・あいつには好きな奴がいるんやから」
鼻歌混じりに話す健吾を睨み付けて言ったが、健吾は動揺することはなかった。
「そんなん関係ないし。俺に惚れさせるまでやな」
「・・・・・・」
「俺は、好きな女が他の男が好きだろうと、諦めたりしない。ってか、渡したくないし」
「・・・・・・」
「ってことで俺らはライバルやな」
「・・・・・・」
健吾の言葉に、何も言うことができなかった。
健吾、本気なんか?
俺は・・・どうしたらいいねん!
頭を抱えて、机に突っ伏した。