【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~
「母さん、なんか手伝うことない?」
家に帰るとすぐに母さんに声を掛けた。
俺の言葉に母さんは目を丸くして驚いていた。
「えっ?准、今なんて?」
母さんの表情に笑みを零しながら種明かしをした。
「美沙にさ・・・母さんの手伝いをしてあげなあかんって言われたんや・・・」
「そうなんや・・・」
「母さんたちが沖縄に行った時に、美沙と餃子作ったんやけどさ、俺が包んだのは皮からはみ出してさ、最悪やったんやで!」
「ふふふ、准らしいね」
「母さん失礼な!でも母さんの苦労がわかったよ・・・。だから、今までの分、手伝わせてよ」
「・・・准。母さん嬉しいよ」
自分の言葉に、涙を浮かべる母さんの姿に、今まで手伝いもしなかったことを悔やんだ。
「こんなことくらいで泣くなよ!」
「ふふふ・・・母さんは厳しいわよ!」
「お手柔らかに・・・」
二人の間にあった壁が取り払われたように、笑い合った。