【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~
「ただいま」
「おかえり」
「なぁ、母さん、俺でも作れるお菓子ってある?」
早速、考えついた案をすぐに母さんに打ち明けた。
「いきなりどうしたん?あっ、美沙ちゃんに渡すの?」
突然変わった息子に、母さんは驚いていた。
「まぁ・・・そう。おかしい?」
母さんの直球の質問にも素直に答えている自分が少し恥ずかしかった。
「おかしくなんかないと思うよ」
「そう?」
優しい笑顔で自分の意見に賛成してくれたのが嬉しくて、テンションが上がっていた。
「じゃあ、マドレーヌとかどう?」
「簡単?」
そう、それが問題・・・。
「ケーキとか作るよりはね」
「教えてください」
頭を下げて、お願いした。
「じゃあ、明日作ろうか?」
「お願いします」
さらに深く頭を下げた俺は、本気だった。そんな様子に目の前の母さんも嬉しそうに笑っていた。
「もうそろそろお父さんも帰ってくると思うから、夕食の用意するね」
「あっ、俺も手伝うよ」
「ありがとう。助かるわ」
馴れない手つきで、母さんの手伝いをした。