【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~

次の日、朝から気合いを入れて、珍しく早く起きていた。


「おはよう」


「准、どうした?今日は、早いな」


珍しい行動に父親さえも驚いているようだった。


「まぁ、ちょっとね」


怪しむ父さんをかわして、キッチンにいる母さんの元へ行った。


「准、気合い入ってるね」


「初めてやから、どれだけかかるかわからんし」


「そうやね。准は鈍くさいからね」


「そんなに?」


冗談で返してくれると思っていただけに、母さんから言われた言葉に愕然とした。


「鈍くさい上に鈍感」


「・・・・・・」


実母に言われるってことは、本当なんだろうと、若干肩を落としていた。


「母さんがいうのもおかしいけど、准はいい子やと思うよ。母さんは大好きやけどね」


思いもよらぬ告白に、なぜか焦っている自分がいた。


「アホなこと言うなよ」


「ほんま、ほんま。でも、今は母さんに言われるより美沙ちゃんに言われるほうが嬉しいかな?」


「な、何を・・・言うねん」


言われたことが図星だったので、それ以上何も言うことが出来なかった。


美沙に『大好き』なんて言われたら・・・。


ニッコリ笑いながら、


『准、大好き!』


と言ってる美沙の姿を想像して、顔を真っ赤にさせていた。


「何を妄想してるの?!始めるで!」


「は、はい!」


背筋を伸ばし、目の前の師匠に着いていこうとした。


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