【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~
「あれはね・・・小学校に入って、周りの女の子が・・・
准のことを『かわいい』とか言ってるのを聞いて、
『准は私だけのもの』なんて思ってたから・・・
なんか腹立って・・・その矛先が准に向いたわけ」
もしかして・・・それって・・・?
率直に感じた疑問を美沙に投げかけた。
「それって・・・嫉妬?」
見つめながら言う俺の目をしっかり見て、美沙は微笑みながら言った。
「きっと、そうやね」
懐かしそうに言う美沙の笑顔が眩しくて、目を細めていた。
「・・・そうやったんや」
嫉妬かぁ。
なんか嬉しいな。
「ごめんね・・・意地悪なことばかり言って・・・」
申し訳なさそうに言う美沙が、なぜか小さいときの美沙に見えて、微笑んだ。
「・・・あの当時は、嫌やったけど・・・
不思議と美沙から離れようとは思えなかったんよな・・・
しかも、久しぶりに会って、『准のくせに生意気!』って言われたら、
なんか嬉しくてさ・・・俺、いじめられるのが好きなんかな?なんて思ったりしたんやで・・・。
でも違うって気付いたのは、少し先やったかな?」
「・・・・・・」
優しく俺を見つめる美沙は、何も言わずに次の言葉を待っていた。
「アキラが登場して、しばらく会えなかった時に、俺は美沙が好きやって気付いた」
「・・・・・・」
「それで、告白しようと決めた日に、母さんたちの罠の話を聞いて・・・
このまま罠にかかったら、母さんたちの思う壷やから・・・
なんとかしようと思って、偽装恋人を演じることを思い付いたんや」
でも・・・、今となってはそんなことしなかったらよかったと思ってるんやけどね・・・。
「そうやったんやね・・・」
『ふふふ』と笑みを零しながら美沙は、言った。
「だからさ・・・ほんま、あのデートの時の美沙の仕種とか、言葉の全てにドキドキさせられてた・・・
でもさ・・・好きな男がいるって聞いて・・・
かなりショックで・・・
俺と一緒にいるところを見られても問題ないって言われてさ・・・
俺は勘違いさえもされへんのか!って・・・
へこんだんやで・・・・・・」
遠い昔を語るように、話す俺を美沙は、笑いをこらえながら見ていた。
「・・・ふふふ、自分に嫉妬してたんや」
「・・・情けないなぁ」
手を頭の後ろで組んで、天井を見上げて呟くのを見て、美沙は恥ずかしそうに話し始めた。