【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~
「こんにちは」
平然とやってきた美沙に、4人は動揺しているようで、バタついていた。俺は、階段からばれないように様子を伺っていた。
「あっ、美沙!どういうこと?」
美沙の母親は、真剣な表情で美沙に詰め寄った。
「何が?」
それに対しても、美沙は表情を変えなかった。
「美沙、あんた彼氏いてるん?」
「うん。いてるよ。また今度紹介するね」
みんなが聞きたかった質問に美沙は、さらりと答えた。
「そんなことじゃなくて・・・。あんた、准くんは?」
「准?」
『何のこと?』と言わんばかりに美沙は、聞き返した。
「准くんのことが好きなんやろ?」
そう言う母親の言葉に、突き刺さるような強い視線で見つめて、言い放った美沙の言葉によって、その場の空気は凍り付いた 。
「・・・私が誰と付き合おうと関係ないやん!」
しばらくの沈黙の後、俺が降りてきたことに4人は驚いた。
「なんやねん、騒がしいなぁ」
迷惑そうに言いながら入って来た准に、みんなは驚いた顔をしていた。
「准・・・」
心配するように、みんなが声を掛けてくれたが、表情を変えなかった。
「何を騒いでるん?」
母さんも心配そうな表情をしていた。
「あんたは・・・いいの?美沙ちゃんのこと・・・」
「そうよ・・・准くん・・・」
美沙の母親までが、心配そうに声を掛けて来た。
リビング全体が、静まり返っていた。