【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~
高鳴る胸の音を隠すように、目の前のジュースを飲んだ。
ちらちらと美沙のことを見ながら、健吾と美沙が話すのを聞いていた。
すると、スーツ姿の男が近づいて美沙の名前を馴れ馴れしく呼んだ。
「美沙ちゃん」
なんだこいつ。
眉間にシワを寄せ、突然現れたスーツの男を見上げた。
「お客様、当店No.1の美沙ちゃんをお借りしてよろしいですか??」
な、ナンバーワン?!ってかやっぱりキャバクラやし!
そう言うと男は美沙を連れていってしまった。
美沙が・・・No.1メイドさん?
確かに、黙ってたらかわいいけどさ、あいつは・・・あいつは・・・やばい・・・あの笑顔にやられてしまいそうや・・・。
遠ざかる美沙の後ろ姿を名残惜しそうに見つめていた。
スーツの男と話す美沙の笑顔を見て、なぜだか胸が痛んだ。
なんやねんあの笑顔・・・。
「なぁ、あの子めっちゃかわいいよな。俺、タイプ」
「スタイルめっちゃいいし。ヤリてぇ〜」
ヤリたい?
お前、そんな恰好してるから、あんなこと言われるんやで!
隣の男たちの会話を聞いて、眉間にシワを寄せて苛立ちを抑えるのに必死だった。