【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~
「なぁ、准。美沙ちゃんのこと狙っていいか?」
健吾の発した言葉が頭の中で解読できずに、素っ頓狂な声を出してしまった。
「へ?」
「だから俺、美沙ちゃんに惚れた」
「はぁ?」
一際大きな声を出し、驚きを表現してしまった。
「どうされましたか?」
立ち上がった俺にメイド姿の女王様が近づいて来た。
「いや、その、俺ら失礼するな!」
健吾の腕を引っ張り、店を出た。
「あ、そう?ゆっくりしていってくれたらいいのに」
首を傾げて、顔を覗き込ませて言ってくる美沙にドキドキしてしまい、
『もうちょっと・・・』と思ってしまいそうになったが、健吾が余計なことを言い出しそうだったので、帰ることを決めた。
「いってらっしゃいませ、ご主人様」
ペコリと頭を下げて見送ってくれたメイドさんたちに、照れながら出てくると、健吾は不満そうな表情をしていた。
「せっかく、美沙ちゃんが来てくれたのに」
口を尖らせて言う健吾はぶつぶついいながら、俺の後ろを着いて来ていた。
「うるさい。お前が変なこと言うからやんけ!」
「変なこととは失礼な!それともお前、美沙ちゃんが好きなんか?」
俺は、頭が飛んでいきそうなくらい頭を振った。
「ないないないない!」
あの凶暴女のことが好きになるなんて、絶対にありえない!!
俺が今までどれだけいじめられてきたと思ってるねん!!