【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~
「ねぇ、自分がどこにいてるかわからんの?」
そう聞いてくる美沙の顔が近くて、眉をひそめて、不機嫌そうにしてるにも関わらず、ドキドキが増してしまう。
「うるさいなぁ・・・あっ、いてた!」
ようやく見つけた俺の姿に美沙は、なんだか満足気に見ていた。
「ふぅん」
それでも出てくるのはこんな興味のなさそうな声だけだった。
なんか感想とかないんかい!
美沙はさらにページをめくり、クラス写真のページへ進んでいた。
「ねぇ、准は何組?」
「3組」
「3組・・・あった!あんまり変わってないね」
「そりゃ、1年も経ってないし」
「そっかぁ。そうやんな」
意外と素直な美沙の反応に肩透かしをくらい、なんだか物足りない感じがしていた。
「でも背は5センチくらい伸びたかな?」
「そうなん?今何センチ?」
アルバムから目を離し、俺の顔を見る顔が驚いていて、優越感でいっぱいだった。
「175くらいかな?」
「まじで!生意気!」
生意気って・・・きたきた女王様。
「美沙は何センチなん?」
「うわっ、めっちゃ上から言われてるみたいで嫌やわ・・・どうせ163しかないよ!」
「女の子やったら高い方なんちゃう?」
そうは言ったものの、美沙は納得していない様子。
「そうやけどさ・・・准に負けるなんて悔しい!」
「ははっ、まっ、仕方ないやろ」
俺は、美沙の頭をポンポンと軽く叩いた。
「うわぁ〜!腹立つ!!」
美沙は准の顔を睨んできたが、上から目線の俺には何の迫力もなくて、むしろ上目遣いみたいでかわいいくらい。
俺は何を考えてるんや!!
これ以上美沙の近くにいてはいけないと思い、再び椅子に座った。
「あっ、その俺の上にいるのがこの前、文化祭に連れて行った、健吾」
健吾を指差して教えたが、美沙の表情は変化しなかった。