【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~
ドンッ!
「うっ・・・」
誰かに腹を殴られた。きっと、強盗だ。
母さんは?おばさんは大丈夫なんか?
「この家には・・・お金はありませんよ・・・」
殴られた腹部を押さえながら、必死に声を絞り出した。
きっと、凶器を持ってるんや・・・一人か?複数犯か?
あっ、顔を見ておかないと・・・この力やと男やな・・・どんな男や?
いくつくらいや・・・?
あぁ、俺は・・・もう死ぬのか・・・?
もっとやりたいことがあったのに・・・。
恐怖に震えながらもゆっくり目を開けた。
「やっと起きた。さっきから起こしてるのに全然起きへんのやから!」
目の前には、腕を組み、仁王立ちをしている女王様。
「み、美沙!」
「美沙じゃないわよ!一体何回呼んだと思ってんの!」
はぁ?呼んだ?
全然気付かんかったし・・・。
ゆっくりと上体を起こそうとしたが・・・なぜか腹部に激痛が走った。
「いてて・・・」
「あら?やり過ぎた?」
『やり過ぎた?』ってまさか。
「お前か!殴ったんは!?」
「そうやで」
しれっとした顔で言うなよ!
めっちゃ痛いし・・・この女どんなけ馬鹿力やねん!
「もっと優しい起こし方は知らんのか!」
「准が早く起きへんから悪いんやろ!」
「だからって、殴るなよ!」
「あーうるさいなぁ!」
うるさいってさ、全部お前が悪いんやん!
「あ~うるさい、うるさい」
と耳を押さえている美沙を睨みながら、ベッドにあぐらをかいて、体制を整えた。
「で、何の用?」
「はぁ?『何の用?』はこっちの台詞や!道端で大声で人の名前を呼んで!恥ずかしくないん?!」
はぁ?
俺が?
道端で?
美沙を?
大声で?
呼ぶ?
はっ!
そうや!
ようやく美沙の言っていることが理解できた。