【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~
学校から帰ったら、今日も美沙の母親が来ていた。
外が雪でも降りそうな寒さだったので、暖まる為にもリビングでコーヒーを飲もうとしていた。
「そういえば、美沙ちゃん、きれいになったね〜」
またその話か。
ソファーに座り、再放送のドラマを見ながら、耳は母親たちの会話に集中していた。
「そう?あの子も喜ぶと思うわ」
「彼氏でもできたんかな?って話してたんやで?」
もう聞くか?それを・・・。
「先輩に告白されたらしいのよ」
告白された?
マジで?
でも、ありえないことじゃないよな・・・そうやんなぁ。
「それで返事は?」
母親たちが興奮気味に話す隣をその返事を聞かないように、逃げるようにして、自分の部屋に戻った。
はぁ・・・。
部屋に戻ると、机に突っ伏した。
別にあいつに彼氏がいてもいいやん・・・・・・俺は、ただの幼なじみやし。
幼なじみというか・・・『奴隷』やけどな。
今までの自分の立場を考えると、苦笑いをせざるをえなかった。
あんな気の強い女、そこら辺の男じゃ扱いきられへんぞ?
顔はいいけど、起こすときに殴ったり。
スタイルもいいけど、無理矢理、謝らせたり。
料理はまあまあできるけど、痣ができるほどつねったり。
『准のくせに生意気!』が口癖で。って、好きな男の前じゃそんなことしないよな・・・。
きっと『女』になるんやろうなぁ。