【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~



学校から帰ったら、今日も美沙の母親が来ていた。


外が雪でも降りそうな寒さだったので、暖まる為にもリビングでコーヒーを飲もうとしていた。



「そういえば、美沙ちゃん、きれいになったね〜」


またその話か。


ソファーに座り、再放送のドラマを見ながら、耳は母親たちの会話に集中していた。


「そう?あの子も喜ぶと思うわ」


「彼氏でもできたんかな?って話してたんやで?」


もう聞くか?それを・・・。


「先輩に告白されたらしいのよ」


告白された?


マジで?


でも、ありえないことじゃないよな・・・そうやんなぁ。


「それで返事は?」


母親たちが興奮気味に話す隣をその返事を聞かないように、逃げるようにして、自分の部屋に戻った。




はぁ・・・。


部屋に戻ると、机に突っ伏した。


別にあいつに彼氏がいてもいいやん・・・・・・俺は、ただの幼なじみやし。



幼なじみというか・・・『奴隷』やけどな。



今までの自分の立場を考えると、苦笑いをせざるをえなかった。


あんな気の強い女、そこら辺の男じゃ扱いきられへんぞ?


顔はいいけど、起こすときに殴ったり。


スタイルもいいけど、無理矢理、謝らせたり。


料理はまあまあできるけど、痣ができるほどつねったり。





『准のくせに生意気!』が口癖で。って、好きな男の前じゃそんなことしないよな・・・。



きっと『女』になるんやろうなぁ。





< 44 / 220 >

この作品をシェア

pagetop