【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~
冬休み中の補習授業から帰って来たら、テーブルに置き手紙があった。
【准へ
今日は美沙ちゃんの家でクリスマスパーティーをするから、学校から帰ったら、美沙ちゃんの家に来なさい。
母より 】
クリスマスパーティーか・・・。
久しぶりやな。
小さい頃は、よく合同でクリスマスパーティーやら誕生日パーティーやらをやってたけど、俺と美沙が中学に入ってからはなくなっていた。
鞄を机に置き、補習授業で使ったテキストを片付ける。
俺の学校は、進学校というのもあり、期末テストが終わっても、全員補習授業がある。
はぁ・・・これだけしてしまおう。
冬休みに山のように出された宿題のうちの少しを美沙の家に行くまでに手を付けた。
数学の問題を数ページ解いた所で、ふと時計に目をやると19時をさしていた。
「そろそろ行くか・・・」
この歳にもなって、家族とクリスマスを過ごすなんて、なんて寂しいんや・・・俺だって、彼女と過ごしたいよ・・・。
そんなことを思いながら、上着を羽織り外に出た。
「送ってくれて、ありがとう」
「いいよ。気にするなって」
玄関の鍵を閉めていたら聞こえて来た声。
女の方は・・・美沙。
そーっと覗くと、美沙の背中越しに見えるのは、顔は見えないが、声からして男。
その男の顔を覗き見ようとしようとした瞬間、
もたれていた金属性の門がキーッと開き、バランスを崩して、道路に出てしまう形になってしまった。
うわっやばっ・・・怒られる!
そう思い、身を縮めたが、そんなことで体が隠れるわけはなく・・・あっけなく見つかった。
「准?」
でも掛けられた声は優しくて・・・なんだか余計にくやしかった。
その男の前やから、そんな言い方するんか?
そう思ったら無性に腹が立って来て・・・。
俺は、二人に向かって、歩き出していた。
俺は一体、何をするつもりなんや?
何を言うつもりなんや?
美沙とその男は何も話さずに俺の方を向いている。
どんどん近づく。
街灯で男の顔が少し見えた・・・目鼻立ちははっきりしていて、男の俺から見てもかっこいい。
どちらかというと『かわいい』なんて言われる俺とは違うタイプの顔をしている。