【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~


その男が母さんが話してた『先輩』なんか?


『彼氏』なんか?


俺は、二人の前に立つと、笑顔で言葉を発した。



「美沙、おかえり」



若干、『美沙』の部分を強調して・・・。



「准?」


不思議そうな顔をして見つめている美沙なんて見ないで、俺は目の前の男を睨んだ。



お前は誰や!


こんな暗くなるまで美沙を連れ回してどういうつもりや!


「美沙ちゃん、誰?」


その男も俺から目を離さないで、美沙に俺の正体を聞いた。


「あっ、彼はお隣さん。准、こちらは・・・・・・同じ学校のアキラくん」



ア、アキラくん?


へ〜名前で呼ぶんやぁ。


「こんばんは。美沙をわざわざ送ってもらってありがとう。もう大丈夫やから」



そう言うとアキラは、俺をさらに鋭い目付きで睨み付けてきた。

俺らの間には、火花が散りそうな視線が交差していた。



「じゃあ、美沙ちゃん。またね」


アキラは、さっきまでの顔とは違って優しい笑顔で美沙を見つめて言った。


「うん。バイバイ」


美沙がそう言うと、アキラは最後に俺を睨み、帰って行った。


俺・・・一体何をした?


正気に戻った俺は、自分のとった行動が信じることができなかった。


ぼんやり立ち尽くしてると、いつもの美沙が

「何、ボーッとしてんの!うちに来たんでしょ?早く入ったら?!」

と、さっきとは違う口調で俺に投げ付けた。



なんやねん!


アキラには優しい声を出してたのによ!


「入らへんの?!」


動こうとしない俺にイライラする美沙の口調がさらにきつくなる。


俺は、そんなことはお構いなしに、ある質問を投げかけた。


< 46 / 220 >

この作品をシェア

pagetop