【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~
「あれって、彼氏?」
結構、頑張って言った言葉やで?
それやのに・・・。
「准には関係ないでしょ」
と切り捨てるように言われた。
・・・・・・確かに。
俺らはただの幼なじみで、幼なじみというよりは、『女王様と奴隷』のような関係。女王様に男ができようが、奴隷には関係ないし。
場違いな発言をしてしまったことに、いまさら後悔するのであった。
「そうやな。俺には関係ないな」
そう言って、美沙の開けるドアに入った。
一瞬見た、美沙の顔がなんだか暗くて・・・・・・忘れられなかった。
なんでそんな顔するんや?
俺は、お前を傷つけるようなこと言ってないぞ?
むしろ俺の方が・・・。
そうか・・・彼氏に他にも男がいると思われたかもしれないからか・・・?
悪いことしてしまったな。
「美沙、さっきはごめん。俺、彼氏って知らなくてさ。彼氏、勘違いしてるよな?」
廊下を歩く美沙の後ろ姿に話し掛けた。
「別に大丈夫やから」
美沙は、俺の顔も見ずにそう言った。
『別に大丈夫やから』
俺は、勘違いされる相手でもないってことか?
俺は、底無し沼にはまってしまって、出られなくなっていた。