【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~
「准くん!」
久し振りに呼ばれたその声に恐る恐る振り返ると、目の前には美沙の母親が立っていた。
「あっ、おばさん!」
「准くん、久し振り。背が伸びたね〜」
美沙にも3年会っていないし、美沙の母親にもしばらく会っていなかった。
「はい」
「何センチあるん?」
「174かな?まだ伸びてるけど」
准と美沙の母親は、駅からの道を並んで歩いた。
「すごいね」
と口角を上げて笑うと、美沙に似ているんだ。でも、おばさんは、いつも優しくしてくれて、本当にあいつの母親なのかを疑っていたんだ。
「あんなに小さかったのに、今なら美沙の方が小さいわね」
そっかぁ、会ってない間に俺の方が背が高くなったんやぁ。
もしかして今なら、形勢逆転できるんじゃねぇか?
急に会いたくなってきたなぁ!
「じゃあ、いつでもまた遊びに来てね。美沙も喜ぶと思うわ」
「はい」
美沙が喜ぶ?いじめることができるから喜ぶんじゃねぇの?
そんなことを考えながら、家に着いた。