【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~
「今、隣のおばさんに会ったで」
家に帰ると、母親が夕食の準備をしていたので、さっきおばさんに会ったことを話した。
「美沙ちゃんの?」
「あぁ」
「美沙ちゃん、ますますかわいくなったんやで〜」
台所で准に背を向けながら料理をする母は言った。
おそらく笑顔で。
母は美沙を気に入っている。
いや、気に入ってるどころではなかった。
『美沙ちゃんみたいな娘がいたら、お買い物とか一緒に行けたのに。
准じゃ文句ばっかりで連れて行きたくもないわ』
と言われたことは、子供ながらにショックを受けたので、よく覚えていた。
あんな気の強い女のどこがいいんだか。と毎日のように思っていた。
俺と美沙の母親同士、は昔から仲がいいので、一緒に買い物へ行ったり、昼間はどちらかの家で昼ドラとワイドショーなんかを観ながらしゃべくっていることも多い。
買い物に美沙が合流することもあると、聞かされていた。