【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~


『ごめんね。美沙、僕のチョコあげるから、機嫌を直して』



小さい頃、俺は美沙が拗ねるといつも自分のおやつをあげて機嫌を直してもらおうとしていた。


そして、昔と同じ台詞を言うつもりが、



「ごめん。美沙、俺のチョコあげるから機嫌直せよ」

と言いながら、後ろから抱きしめていた。



強く抱きしめたので美沙は身動きをとれずにいた。


「じゅ、准?どうしたん?」


「ちょっとだけ、こうさせて」


声を詰まらせて美沙に頼んだ。


自分でもなぜ、こんなことをしてこんなことを言っているのかが解らなかった。



このまま・・・美沙を手に入れたい。


そんな欲望まで出て来てしまいそうだった。




目を閉じると、子供の時の美沙の笑顔。


小さくて足の遅い俺を『遅い』て言いながらも待ってくれてる美沙。



転んで泣きべそをかく俺の頭を撫でてくれる美沙。



卒業式の時に人一倍、大泣きしていた美沙。





思わず腕に力が入り


「痛い・・・」


と聞こえた美沙の声で我に返った。



「ごめん」


美沙の頭を撫でて、美沙から離れ背を向けた。


「准・・・」


「ごめん。俺、レポート書かなあかんから・・・先に下に行っておいてくれる?」


「うん」


美沙が部屋を出た瞬間、ベッドにもたれて座り込んだ。


やばかった・・・あのままキスでもしそうやったし。


理性を保つことができて安心している自分がいた。



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