【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~
「はぁ・・・」
「准?」
「うわっ!お、お前いつからいてた?」
「さっきから。って、一人でなに百面相してるん?」
ひ、百面相?
やばっ、俺、声に出してなかったよな?
「あっ、美沙、あんた早く制服を着替えてきなさい!」
「はぁい」
美沙は、おばさんの声に渋々返事をしていた。
「准、外暗いから、送ってあげて」
「おばさん、大丈夫やって!隣やし」
「あかんよ。美沙ちゃんかわいいから、危ないわよ。だから准、送ってあげて」
「わかったよ。なっ?行こう美沙」
俺がリビングのドアの方へ歩き出すと美沙も後からついてきた。
玄関で二人並んで靴を履いていると、美沙がボソッと呟いた。
「准が1番危ないかもね」
「うるさい!そんなこと言ったら、ほんまに襲うぞ!」
冗談にしようと思っていたのに、返って来た言葉が衝撃的で、何も言えなくなった。
「いいよって言ったらどうする?」
そう言ってくる目の前の女は、上目遣いで、笑いなんてない真剣な顔で・・・。
俺の中の思考回路は爆発寸前だった。
『襲うぞ』の答えが『いいよ』って・・・まじで?
胸は激しく鼓動しはじめ、外まで聞こえるんじゃないかというくらいドキドキし、体中は熱く、どうしようもなく手に汗をかいていた。
それってどういうことだよ・・・
美沙は俺に・・・
だ、だ、だ、抱かれていいってこと?
何それ?
ちょっと待って、お前は彼氏いるんやろ?
はぁ?
何?その・・・どういうこと?
頭の中では意味の成さない言葉ばかりが並んでいた。