【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~
「・・・あいつのことが好きやと気付いたのは、つい最近なんや・・・」
昼休みの中庭で俺は美沙への想いを話していた。
「小学生の頃は、俺の方が美沙より小さくて、走るのも遅くて、弱虫で・・・
いつも『准、遅い!』、『また泣いてるの!』、『ちっちゃいね。』とか・・・
俺がたまに美沙より優ることがあったら、『准のくせに生意気!』とか言われてたんや・・・
しかも俺だけに・・・それがすごく嫌やった。
でもさ、3年振りに会って・・・また同じような感じで『准のくせに生意気!』とか言われて
腹立ったんやけどさ、その憎まれ口の中にもあいつの優しさとか見え隠れしてて、
カレーもさ、俺が好きなチキンカレーにしてくれたり、
嫌いな人参を細かく切ってくれてたりするんやで・・
ほんま、腹立つんやけどさ・・
なんかさ、それまで心地よく感じてしまってたんや・・・
でも急に会われへんようになって・・
心にぽっかりと穴が開いたみたいになってしまって・・・
それで、気付いたんや。俺は美沙のことが好きやってな」
ぽつりぽつりと話す俺の横顔を見つめる健吾は、何も言わず聞いてくれていた。
「美沙ちゃんも、准のことが好きなんかもな」
「はぁ?」
健吾の突然の発言に、 ただただ驚くばかりだった。
「まぁ、頑張れよ、へーくしょん!はよ中に入ろうや。寒いっちゅーねん!」
「あぁ・・すまんな」
「相談料の代わりに、美沙ちゃんとうまくいったら、なんかおごれよ!」
「わかったよ・・」
と言ったものものの、うまくいくことなんてあるんやろうか。