【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~


学校からの帰り道、気持ちが高ぶっていて、今シーズン一番の寒さもものともせず、背筋を伸ばし、堂々と歩いていた。


帰ったら、美沙来てるんかな?


いつ告白しよう・・


なんて言おう・・・。


『美沙、俺と付き合え!』


絶対殴られる・・・。


『美沙、好きやで。付き合ってくれる?』


軽すぎる・・・。


『美沙、好きです。俺と付き合ってください』


べたやけど、これでいいかな?


うん。いい。これでいい。


納得すると、家までの道のりを急いで帰った。

玄関のドアを開けると、いつものように母さんと美沙の母親の笑い声が聞こえた。



相変わらず仲がいいな・・・。



少し笑みを零し、リビングのドアに掛けた時に聞こえた会話に、手が止まった。


「美沙ももうちょっと可愛いげのある言い方できへんのかな?って思うわ」


えっ?美沙の話?


「まぁ、照れ隠しじゃないの?」


照れ隠し?


なんの話や?


完全にリビングの中に入るタイミングを失っていた。


「照れ隠しにしても、あれじゃ准くんがかわいそうやん」


「そんなことないよ。准はボーッとしてるから美沙ちゃんくらいはっきり言ってくれる子じゃないとあかんわ」


悪かったな、ボーッとしてて。


「准くんは美沙のことどう思ってるんやろうね?」


「准かぁ・・・あの子ほんま、何考えてるかわからんからなぁ」


好きですよ、俺は。

というか、なんでこの親は、こんな話をしてるんや?




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