【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~
「准!夕飯出来たよ」
えっ?美沙?
「あーっ!」
ドンッ!
ドアの向こう側から聞こえた声に驚き、バランスを崩してしまった。
「痛たたた・・・」
痛みに顔を歪めて仰向けに寝転がっていると、急に目の前が暗くなった。
「准、大丈夫?」
「美沙・・・」
好きやで。
目の前に現れた美沙の顔に思わず告白してしまいそうになるのを堪えて、ゆっくりと起き上がった。
「准、一体何してたんよ」
「あーちょっと考え事」
「どうせ、つまらないこと考えてたんやろ?私、もう行くで」
「なぁ、美沙。俺らさ、母さんたちに騙されてるの知ってた?」
呆れ顔で部屋を出ようとした美沙に声を掛けた。
「騙されててる?」
眉をひそめ、『なにわけわからんこと言ってるの?』といいたそうな顔つきで、再び部屋に入って来た。
「あぁ。ドア閉めてこっち来て」
「変なことする気じゃ・・・」
「そ、そんなことするか!」
慌てながら、否定するのを見て美沙は大笑いしていた。
「めっちゃ動揺してるし!」
「うるさい!」
真っ赤な顔をして怒る俺を見てさらに美沙は笑いを堪えるのに必死だった。
「それで、どういうこと?騙されてるって?」
美沙は、椅子に座った俺に目線を合わすように、ベッドの端に座った。
「母さんたちが話してるのを聞いたんや」
真剣に話す俺に美沙も何も言わず、見つめていた。
「母さんたちさ、俺らをくっつけようと、罠をかけてたみたいなんや」
「罠?」
首を傾げて、美沙は詳しい説明を促すように聞いた。