【完結】 甘い罠〜幼なじみは意地悪女~
「俺らも母さんたちを罠にかけるってのはどう?」
「どういうこと?」
俺が言ってる意味がわからないといった感じで、眉間にシワを寄せて聞いた。
「母さんたちの罠にかかったふりをするんや」
「はぁ?」
ますます、わけのわからない俺の発言にイライラしているようだった。
「つまり、偽装の恋人を演じる」
「偽装の恋人??」
「そう。母さんたちの罠にかかったフリをして、付き合ってることにするんや
そして、最後に全部嘘やとばらすんや!」
「ふふふ・・・おもしろそうやね」
美沙の険しい表情は緩んで、柔らかくなった。
「そうやろ?やる?」
「やるやる!」
嬉しそうに乗って来た美沙を見て、俺はほくそ笑んだ。
「じゃあ、今週末にデートでもする?」
「で、デート?ちょっと・・・家の中だけじゃないん?」
「付き合ってるんやったら、デートの話くらいせな、すぐにばれるで?」
俺の話が予想外だったのか、デートの誘いに動揺する美沙に対して、准は冷静に答えた。
「まぁ、そうやね」
俺の言葉に美沙は頷かざるをえないようだった。
よかった。納得してくれた。
自分自身、少々強引な作戦に自信がなかったので、美沙が納得してくれたことに安心していた。